リモートの働き方の実態と疲労の傾向についてアンケート調査
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リモートの働き方の実態と疲労の傾向についてアンケート調査

Sayoko

Sayoko

2025.09.25

在宅ワークでのセルフケアは、単にリラックスするだけでなく、仕事の生産性や心身の健康を維持するため、仕事環境や身体に関する様々な知識が必要です。

在宅ワーカーが直面する疲労の実態とセルフケアへの意識を理解するため、実際に在宅で働く方を対象にアンケート調査を行い、働き方の実態や、日々感じる疲労の傾向、そしてリアルなセルフケア事情について、リアルな声を集めてみました。

株式会社デザポケ(本社:東京都千代田区 代表取締役:髙橋篤史)では、Webアンケートにて、「リモートワークの働き方の実態と疲労の傾向について」に関する調査を実施しました。(調査期間:2025年7月)

調査方法

調査方法:インターネット調査(Webアンケートを利用)
調査期間:2025年7月11日(金)~7月15日(火)
調査対象:リモートワーク中の方
回答数:70名(設問によって異なる)

目次

Q1.業種を教えてください。

リモートの働き方の実態と疲労の傾向についてアンケート調査
ライティング・コンテンツ制作系32.9%23名
デザイン・ビジュアル系20%14名
Web・IT系17.1%12名
その他11.4%8名
事務7.1%5名
動画・映像系5.7%4名
データ入力2.9%2名
音声・音楽系2.9%2名

回答者の大多数は「クリエイティブ・IT系専門職」

ライティング、デザイン、Web・IT系を合わせると全体の70%を占めており、PCでのデスクワークが中心の職種がほとんどです。

PC画面と向き合う時間が長い専門職が上位を占めていることがわかります。

業務内容は思考や創造といった精神活動が主ですが、その実態は「肉体を酷使する労働」です。

指先を常に動かし、視線をモニターに固定し、同じ姿勢を長時間維持することが求められます。

Q2.在宅ワーク歴はどのくらいですか?

リモートの働き方の実態と疲労の傾向についてアンケート調査
半年未満25.7%18名
半年~1年11.4%8名
1年~5年48.6%34名
5年以上14.3%10名

経験豊富な「ベテラン在宅ワーカー」が中心

在宅ワーク歴「1年~5年」が約半数を占め、5年以上と合わせると60%以上になります。

一過性ではなく、在宅ワークが定着している層であることが伺えます。

一方で、「半年未満」(25.7%)も一定数おり、新しい在宅ワーカー層も含まれていることが分かります。

Q3.普段仕事はどこでしていますか?

自宅92.9%65名
コワーキングスペース・シェアオフィス5.7%4名
カフェ・飲食店1.4%1名

仕事場所は「自宅」が92.9%と圧倒的多数を占めており、自宅の仕事環境が疲労に直結している可能性を示唆しています。

「自宅」という環境が引き起こす、オフィス以上の身体的負担

オフィスとの環境差

オフィスであれば、人間工学に基づいて設計された椅子や、適切な高さのデスク、外部モニターが用意されている場合が多いです。

しかし自宅では、ダイニングテーブルでノートPCを覗き込むといった、身体に負担のかかる姿勢で長時間作業している人が少なくありません。

公私の境界の曖昧さ

通勤がなく、休憩のタイミングも自己管理に委ねられるため、意識的に体を動かす機会が減りがちです。

結果として、オフィス勤務以上に長時間、不適切な姿勢で固まってしまうリスクが高まります。

つまり、「自宅」という快適に見える環境が、皮肉にもプロ仕様ではない仕事道具と環境によって、ワーカーの身体を静かに蝕んでいる可能性が高いのです。

Q4.1日の労働時間はどのくらいですか?

リモートの働き方の実態と疲労の傾向についてアンケート調査
~6時間37.1%26名
6~8時間31.4%22名
8~10時間25.7%18名
10時間以上5.7%4名

労働時間は「6時間以上」と回答した人が60%以上にのぼり、フルタイムもしくはそれに近い形で働いている方が多いことが推測されます。

今回のアンケートでは、片手間で仕事をしているのではなく、プロフェッショナルとして集中的に業務に取り組んでいることを示しているといえます。

Q5.クリエイティブに対して疲労を感じる頻度はどのくらいですか?

リモートの働き方の実態と疲労の傾向についてアンケート調査
常に35.7%25名
週に数回40%28名
たまに22.9%16名
なし1.4%1名

「常に」(35.7%)と「週に数回」(40%)を合わせると75.7%に達します。

4人に3人が、日常的に仕事による疲労を感じている深刻な状況が伺えます。

「疲労を感じない」と回答した人はわずか1.4%に留まりました。

Q6.疲労をどこに感じますか?

リモートの働き方の実態と疲労の傾向についてアンケート調査
82.9%58名
72.9%51名
71.4%50名
54.3%38名
35.7%25名
腕・手首17.1%12名
全身28.6%20名
特に疲労は感じない2.9%2名
メンタル1.4%1名

疲労の症状は「目・肩・首」に集中

「目の疲労」が80%以上と突出しており、次いで「肩」「首」が70%以上と続きます。

これは、長時間のデスクワークが原因の典型的な身体的疲労と言えます。

一方で、「メンタル」の疲労を挙げた人は1.4%と少なく、今回のアンケートでは精神的な疲れよりも、直接的な身体の不調を「疲労」として認識している人が多いようです。

思考のボトルネックは身体

「良いアイデアが浮かばない」「集中力が続かない」といった精神的な不調の根源が、実は「目の奥が痛い」「首が凝って思考が鈍る」といった身体的な限界に起因している可能性があります。

肉体が悲鳴を上げているため、精神が最高のパフォーマンスを発揮できない状態です。

言語化しにくい精神的疲労

「メンタル」の回答が1.4%と極端に低いのは、精神的疲労を自覚しにくい、あるいは不調として表現することに抵抗がある層の存在も考えられます。

その結果、より顕著で分かりやすい身体症状が回答として表出したと推測できます。

Q7.疲労に対して、どんなリフレッシュ方法を取り入れていますか?

アンケートの回答全体を通して、在宅ワーカーのリフレッシュ方法は、趣味や娯楽といった精神的な気晴らしよりも、「デスクワークで凝り固まった身体をいかにケアするか」という具体的な【身体的メンテナンス】に圧倒的に集中している傾向が見られました。

これらの多岐にわたる回答は、以下の4つのアプローチに分類することができました。

①最も手軽な対症療法:「積極的な身体ケア」

回答の中で最も多く見られたのが、仕事の合間や最中に、自らの意思で体を動かす「積極的な身体ケア」です。

具体的な回答例

  • ストレッチ(圧倒的多数)
  • 散歩、ウォーキング
  • 体操、伸び運動、柔軟体操
  • こまめに立つ、動き回る

「ストレッチ」という回答は、バリエーションを含めると全体の半数近くにのぼり、在宅ワーカーにとって最も基本的で重要なリフレッシュ方法であることが分かります。

「散歩」や「体操」も同様に、特別な道具やコストを必要とせず、思い立った時にすぐ実践できる手軽さが支持されている理由と考えられます。

②仕事からの解放を目指す:「意識的な気分転換・休憩」

次に目立ったのが、仕事そのものから意識を切り離し、脳と心を休ませるための工夫です。

具体的な回答例

  • こまめな休憩、1時間に1回は休む
  • パソコンから完全に離れる
  • 趣味の時間、子どもと遊ぶ
  • 家事など全く違うことをする
  • 好きな飲み物(コーヒー、ハーブティー)を飲む
  • 香り系(アロマ)を利用する
  • ポモドーロタイマーの活用

「パソコンから離れる」という物理的な行動や、「ポモドーロタイマー」(25分集中+5分休憩など)といった具体的なテクニックの活用が見られました。

これは、仕事のオン・オフの切り替えが難しい在宅環境において、意識的に「休む時間」を作り出そうとする工夫の表れです。

また、「家事」や「子どもと遊ぶ」といった回答は、仕事とは全く異なる種類のタスクに切り替えることで、脳のリフレッシュを図る高度なセルフマネジメント術と言えます。

香りや飲み物といった五感を活用したリフレッシュも、手軽ながら効果的な気分転換の方法として取り入れられています。

③1日の疲れを癒す:「受動的な身体ケア・回復」

仕事中に行うケアとは対照的に、業務時間外に、心身を回復させるための「受動的なケア」も重要な位置を占めています。

具体的な回答例

  • 湯船でリラックスする、毎日入浴剤を入れて浸かる
  • 寝る、睡眠の質を高める(いい枕と布団を買う)
  • 目を冷やす、ホットアイマスクを利用する
  • セルフマッサージをする

「湯船に浸かる」ことは、血行を促進し、1日中緊張していた筋肉を和らげる効果があります。

「睡眠の質を高める」という回答からは、単に休息時間を確保するだけでなく、その「質」を重視していることが分かります。

また、「目を冷やす・温める」という回答は、先の調査で80%以上が訴えた「目の疲労」に対する直接的なケアであり、多くのワーカーがアイケアの重要性を認識していることが考えられます。

④自分では限界と感じた時の:「プロやツールによるケア」

セルフケアだけでは追いつかない、より深刻な疲労に対して、外部の力や専門的なツールを活用する層も一定数存在しました。

具体的な回答例

  • 接骨院、整体、マッサージ店に通う
  • 湿布を貼る
  • マッサージ器具、ブルブルマシーンの使用
  • 目薬

「接骨院」「整体」といったプロの施術を受けるという回答は、疲労がセルフケアの範疇を超え、専門的な治療が必要なレベルに達していることが推察されます。

また、「湿布」「マッサージ器具」「目薬」といったツールへの依存は、慢性的な痛みや不快感を、より手軽に、しかし直接的に緩和したいというニーズの表れです。

多忙な中で、時間や手間をかけずに一定の効果を得たいというワーカーの現実的な選択肢であることが考えられます。

Q8.取り入れて良かった在宅クリエイター向けアイテムを教えてください。

今回のアンケート結果からは、在宅ワーカーが疲労対策として、単なる気休めではなく、具体的な課題を解決するための「自己投資」としてグッズを導入しているという明確な傾向が浮かび上がりました。

特に「目・肩・首・腰」の身体的疲労に対し、原因となる労働環境そのものを改善しようとする意識が非常に高く、そのアプローチは以下の3つに大別できます。

①疲労の根源を断つ「仕事環境への投資」

回答の中で圧倒的多数を占めたのが、1日の大半を過ごすデスク周りの環境、特に「椅子」と「デスク」への投資でした。

具体的な回答例

  • 高機能な椅子:オフィスチェア、人間工学設計のチェア、ゲーミングチェア、首を支える椅子など
  • デスク:昇降デスク(スタンディング対応)
  • モニター環境:モニター、モニタースタンド
  • 入力デバイス:トラックボールマウス、リストレスト

「良い性能のオフィスチェアを購入した」「高くていいのにした」といった回答から、椅子が最も重要な投資先として認識されていることがわかります。

長時間座り続けることによる身体への負担を、根本から軽減しようとする意図が明確に伺えます。

また、「昇降デスク」や「モニタースタンド」の導入は、座りっぱなしの防止や、目線を上げて姿勢を正すといった、より高度なエルゴノミクス(人間工学)への意識の表れです。

これらは、疲労を感じてから対処するのではなく、そもそも疲労を発生させにくくするための「予防的投資」と言えます。

②特定の痛みを緩和する「局所的な身体ケアグッズ」

デスク環境という「土台」を整えた上で、それでも発生してしまう特定の部位の痛みや不快感を、ピンポイントで緩和するためのグッズが数多く挙げられました。

具体的な回答例

  • 腰・背中・尻用:腰にあてるクッション、ランバーサポート、座椅子、ジェルクッション、ハニカムクッション
  • 目・首用:ブルーライトカットメガネ、ホットアイマスク、蒸しタオル、ネッククーラー、目薬
  • 腕・手・足用:アームレスト、フォームローラー、ストレッチポール、足つぼマット、フットウォーマー
  • 全身用:マッサージガン、バランスボール

今回のアンケートで疲労を感じる部位の上位だった「腰」「目」「首」に対応するグッズが非常に多いのが特徴です。

「腰用クッションで負担が軽減された」
「ブルーライトカット眼鏡で目の疲労が軽減」

…など、具体的な効果を実感している声が多く、多くのワーカーが試行錯誤の末に自分に合ったケアグッズを見つけている様子が伺えます。

マッサージガンやストレッチポールといったアイテムは、もはやアスリートだけのものではなく、デスクワーカーが自身の体をメンテナンスするための必需品として定着しつつあることが推察されます。

③心と五感を癒す「快適性・リラックスグッズ」

直接的な痛みへの対処だけでなく、作業空間の快適性を高め、精神的なリフレッシュを促すためのグッズも挙げられました。

具体的な回答例

  • 感覚に働きかけるもの:無印のアロマディフューザー、CBDバーム
  • 温度を調整するもの:ファン、デスクチェア用バンブーマット
  • 心身を回復させるもの:入浴剤(きき湯)、栄養ドリンク(キューピーコーワiドリンク)、エナジードリンク(レッドブル)

このカテゴリは、先の2つとは異なり、より精神的な側面や、心地よさ(ウェルビーイング)を重視した選択と言えます。

アロマの香りで気分を切り替えたり、バンブーマットで体感温度を下げて集中力を維持したりと、五感に働きかける工夫が見られます。

また、入浴剤や栄養ドリンクといった消耗品は、日々の疲れをその日のうちにリセットし、翌日のパフォーマンスに備えるための手軽な手段として活用されています。

Q9.在宅ワークでの疲労を蓄積しないための工夫を教えてください。

アンケートの回答からは、在宅ワーカーが疲労を溜めないために、自己管理を徹底し、意識的に生活をデザインしている様子が浮かび上がりました。

その工夫は、単一のテクニックではなく、以下の3つの階層からなる、多角的で洗練されたセルフマネジメント術に分類できます。

  1. 仕事中の「マイクロマネジメント」:作業リズムを意図的に作り、身体の固着を防ぐ工夫。
  2. 1日の「境界線(バウンダリー)設定」:オンとオフを明確に分け、精神的な消耗を防ぐ工夫。
  3. 生活全体の「コンディション維持」:心身の土台を整え、回復力を高めるための習慣。

仕事中の「マイクロマネジメント」

回答の中で最も多く見られたのが、デスクワークの合間に「休憩」と「運動」を意図的に挟み込み、仕事のペースを自ら作り出す工夫です。

具体的な回答例

  • こまめな休憩:30分~1時間に1回、小休止を入れる、ポモドーロタイマーの活用
  • 軽い運動・ストレッチ:定期的に立つ、伸びをする、体操をする
  • 視点を変える:外の景色を見る、PCから完全に離れる

具体例で多く寄せられた回答は、在宅ワークにおける最大の敵である「長時間の同じ姿勢」と「画面への集中しすぎ」を回避するための、最も直接的で効果的な工夫が目立ちました。

「30分座ったら立つ」「1時間集中したら10分離れる」といった具体的なルールを自分に課したり、「アレクサで時報を鳴らす」などツールを活用したりと、受動的に時間が過ぎるのを防ぎ、能動的にリズムを作り出そうとする高い意識が伺えました。

1日の「境界線(バウンダリー)設定」

今回のアンケートで特徴的だったのが、仕事とプライベートの境界を物理的・時間的に明確に分けることで、精神的な疲労を防ごうとする工夫です。

具体的な回答例

  • 仕事の部屋と趣味の部屋を分ける
  • 定時を過ぎたらパソコンをシャットアウトする
  • 休みの日には仕事のことを一切考えない
  • 集中する時間を決め、だらだら作業しない
  • コミュニケーションで電話も取り入れる

在宅ワークは、通勤がない分、仕事モードへの切り替えが難しく、際限なく働き続けてしまうリスクを伴います。
これに対し、「定時でPCを閉じる」「仕事部屋から出る」といった物理的なアクションをスイッチとして、意識的にオンとオフを切り替えている様子が見られます。

また、「コミュニケーションは文面だけでなく電話も」という回答は、テキストコミュニケーションの精神的負担を軽減し、人間的な繋がりを保つことで、孤立感からくる疲労を防ぐための重要な工夫であることが推察されます。

生活全体の「コンディション維持」

仕事中だけでなく、生活全体を通してコンディションを整え、そもそも疲れにくい心身を作ろうとする、より本質的なアプローチも多く見られました。

具体的な回答例

  • 睡眠をしっかりとる、寝る前にスマホをいじらない
  • 栄養バランスの取れた食事を心がける
  • シャワーで済ませず、毎日湯船に浸かる
  • 散歩やジムなど、定期的な運動を習慣化する
  • 朝起きたらすぐカーテンを開けて光を浴びる

これらの回答は、日々のパフォーマンスが、仕事以外の時間の過ごし方によって大きく左右されることを、回答者が深く理解していることが伺えます。

特に「睡眠」「食事」「入浴」「運動」は、健康の基本であり、これらを疎かにしないことが、結果として日中の集中力維持や疲労回復に繋がるという、自己管理の王道と言えるでしょう。

「朝日を浴びる」といった体内時計を整える工夫も、生活リズムが乱れがちな在宅ワーカーならではの、意識の高いセルフケアです。

また、「人間がしなくても良い単純タスクはAIやRPAツールで代用」という回答は、テクノロジーを活用して根本的な労働時間を短縮し、疲労の源を断つという最先端の工夫です。

まとめ

今回のアンケート結果から、「経験豊富なクリエイティブ・IT系専門職が、整備されたオフィス環境ではない『自宅』で長時間労働し、結果として目・肩・首を中心とした慢性的な身体疲労に悩まされている」という在宅ワーカーの典型的な姿が浮かび上がってきます。

オフィスとは異なり、人間工学に基づいた椅子やモニターの高さ調整などが不十分な環境で長時間作業を続けることが、特定の身体部位への負担集中に繋がっていると考えられます。

これらの結果は、在宅ワーカー向けのセルフケアが、単なるリラクゼーションだけでなく、「目のケア」「肩や首のコリを和らげる具体的な対策」「正しい作業姿勢を保つための環境改善」といった、より的を絞ったアプローチを必要としていることを強く示唆しています。

自由な在宅ワークという働き方には、「オフィス以上の身体的ダメージ」という代償が伴うことが推察されます。

特にクリエイティブ職の疲労は、精神的なものと認識されがちですが、その実態は自宅環境が引き起こす目・肩・首への集中的な負荷である、という構造がわかりました。

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