日本の「縁起のいい色」をデザインに活かす|祝いの配色と伝統の知恵

こんにちは!デザポケ企画営業部のSayokoです。
大学時代は民俗学を研究していました。
デザインにおいて「色」は、単なる装飾以上の役割を果たします。
視覚的な美しさはもちろん、見る人の心理に働きかけ、時には言葉以上にメッセージを伝える力を持っています。
特に日本では、古くから四季の移ろいや行事に合わせて、特定の「色」に願いや祈りを込めてきました。
これらは「縁起のいい色(吉祥色)」として現代にも受け継がれており、企業のブランディングや広告、記念行事のクリエイティブに取り入れることで、より深い共感や信頼を生み出すことができます。
今回は、日本における縁起のいい色の由来や、ハレの日を彩る配色の組み合わせ、そして卒業式などの節目にふさわしい色彩選びについてご紹介していきます。
デザインで色彩やモチーフについて考える際の一助になれば幸いです。
ぜひ覗いていってみてくださいね。
目次
日本人が大切にしてきた「縁起のいい色」の原点
古来から日本には「ハレ(非日常・祝い)」と「ケ(日常)」という概念があり、ハレの日には特定の色彩を用いることで、神様をもてなし、邪気を払う習慣がありました。
紅白(こうはく)|ハレの日の象徴
日本で最も馴染み深い「めでたい色」といえば、赤と白の組み合わせです。

この由来には諸説ありますが、赤(紅)は「赤ちゃん」という言葉があるように「出生」を、白(白装束)は「死」や「別れ」を意味し、その二つを組み合わせることで「人の一生」を表すという説があります。

現代では黒が基本ですが、昔は喪服も白だったようです。
染料を手に入れるのが大変な時代は、黒に染めるの大変ですもんねえ。
また、民俗学的には、赤飯(赤)と餅(白)という、ハレの日の食事に由来するとも言われています。
赤は太陽や火の色として生命力を象徴し、白は清浄や無垢を表します。
この二色の対比は、鮮やかで力強い印象を与えるため、開店祝いのチラシや祝賀会の横断幕など、活気を演出したい場面で重宝されています。
金銀(きんぎん)|豊かさと永遠の輝き
金と銀は、鉱物としての希少性から、富や権力の象徴とされてきました。

金は錆びることがないため「不変」や「永遠」を意味し、その輝きは極楽浄土の光に例えられます。
一方、銀は「協調」や「洗練」を表し、控えめながらも気品のある美しさを放ちます。
デザインにおいては、箔押し加工などでアクセントとして取り入れることで、高級感や特別感を演出するのに適しています。
特に周年記念誌やプレミアム商品のパッケージにおいて、品質の高さを無言のうちに伝える役割を果たします。
ビジネスや幸福を呼ぶ「吉祥色(きっしょうしょく)」
紅白や金銀以外にも、日本には良い兆し(吉祥)とされる色が数多く存在します。
これらは自然界の動植物や染料に由来し、それぞれに固有の意味を持っています。
藍色(あいいろ)|勝利を呼ぶジャパンブルー
深く濃い青色である藍色は、古くから親しまれてきた色です。

鎌倉時代には武士の間で「褐色(かちいろ)」と呼ばれ、「勝ち」に通じることから縁起が良いとされました。
現代でも、スポーツのユニフォームや企業のコーポレートカラーとして頻繁に採用されます。
誠実さ、冷静さ、そして力強さを兼ね備えた藍色は、信頼が重視されるBtoB企業のパンフレットやWebサイトのメインカラーとして選ばれることが多いです。
紫色(むらさきいろ)|高貴と長寿の証
かつて紫色の染料は非常に貴重であり、冠位十二階の制度でも最高位の色と定められていました。

そのため、紫には「高貴」「品格」という意味が含まれます。
また、古希(70歳)や喜寿(77歳)の祝いに使われるように、長寿や健康を願う色でもあります。
優雅で落ち着いた印象を与えるため、シニア向けの商品やサービス、あるいは伝統工芸品などのブランディングに適しています。
橙色(だいだいいろ)|代々の繁栄を願う
鏡餅の上に載せるミカンの仲間「ダイダイ」に由来します。

ダイダイは実が熟しても木から落ちにくく、新しい実と古い実が同じ木に実ることから、「代々(だいだい)家が続く」として子孫繁栄の象徴とされてきました。
明るく暖かみのある橙色は、親しみやすさやエネルギーを感じさせるため、食品のパッケージやファミリー向けイベントの告知物など、活気と温もりを伝えたいシーンで効果を発揮します。
意味を重ねる「めでたい色 組み合わせ」の美学
日本には、十二単(じゅうにひとえ)に代表される「襲の色目(かさねのいろめ)」という独特の配色文化があります。
単色だけでなく、色を組み合わせることで季節感や情景、そして縁起の良さを表現してきました。
松竹梅(しょうちくばい)
慶事のシンボルとして有名な松竹梅は、寒さの厳しい冬にも緑を保つ「松」と「竹」、そして寒中にいち早く花を咲かせる「梅」の組み合わせです。

- 松(常盤色・深緑): 不老長寿、永続性
- 竹(若竹色・黄緑): 成長、生命力、弾力性
- 梅(紅梅色・ピンク): 気高さ、生命の息吹
鶴亀(つるかめ)
「鶴は千年、亀は万年」と言われる通り、長寿の象徴です。

色彩的には、鶴の「白・赤・黒」と、亀を表す「亀甲色(黄色がかった茶色)」や「緑」の組み合わせとなります。
一見、色の数も多く扱いが難しそうですが、和風のモダンデザインにおいては、白地に赤のアクセント(鶴)を効かせ、深緑(亀)で全体を引き締めるといった手法が取られます。
長寿祝いのギフトパッケージや、健康食品の広告などで見られる配色です。
濡羽色(ぬればいろ)と朱色(しゅいろ)
漆器に見られるような、艶のある黒(濡羽色)と鮮やかな朱色のコントラストは、日本の伝統的な美意識の一つです。

この組み合わせは、厳格さと華やかさを同時に演出します。
格式高い式典の招待状や、和食店のメニューブックなど、「本物志向」をアピールしたい場面において、他の配色にはない重厚な存在感を放ちます。
新たな門出を祝う「めでたい色 卒業式」のデザイン
春は出会いと別れの季節です。
特に卒業式は、これまでの感謝と未来への希望が交錯する大切な節目。
学校案内や卒業記念品、謝恩会の案内状などを制作する際には、この季節特有の「めでたい色」への配慮が求められます。
桜色(さくらいろ)と新緑の予感
卒業シーズンの主役と言えば、やはり桜色です。

しかし、単にピンクを使えば良いというわけではありません。
日本の美意識における桜は、満開の華やかさだけでなく、散りゆく儚さや、その後に芽吹く若葉の予感を含んでいます。
デザインにおいては、淡い「桜色」をベースに、未来への成長を示唆する「萌黄色(もえぎいろ)」や「若草色」を差し色として加えることで、別れの寂しさだけでなく、前向きな旅立ちのメッセージを視覚的に伝えることができます。
矢絣(やがすり)と海老茶(えびちゃ)
卒業式の袴(はかま)姿でよく見られる「矢絣」柄や、「海老茶色(赤みのある茶色)」には、明治・大正期の女学生文化に由来する「学問」や「自立」のイメージがあります。

また、矢絣の文様は「放った矢は戻らない」ことから、出戻らない(結婚などで良縁に恵まれる、あるいは後ろを振り返らず進む)という縁起の良い意味も持ちます。
レトロモダンな雰囲気を出したい場合や、歴史ある学校の広報物、伝統を重んじる式典の看板などでは、こうした深い色合いと伝統文様を取り入れることで、格式と若々しさを調和させることが可能です。
青雲(せいうん)の志を表す空色
「青雲の志」という言葉があるように、晴れ渡った空の色は、若者が抱く高い理想や立身出世への願いを象徴します。

爽やかな空色(スカイブルー)や、夜明け前の清々しい薄群青(うすぐんじょう)は、未来への広がりを感じさせます。
学習塾の合格実績チラシや、新卒採用のパンフレットなどでは、重苦しい色よりも、こうした開放感のある青系が好まれる傾向にあります。
伝統色を現代のクリエイティブに昇華させるには
縁起のいい色や伝統的な配色を知ることは重要ですが、それをそのまま使うだけでは、現代の市場において「古臭い」と感じられてしまうリスクもあります。
大切なのは、その色が持つ「意味」を理解した上で、現代の感性に合うトーンやバランスに調整することです。
例えば、伝統的な「紅白」であっても、彩度を少し落としてマットな質感にしたり、余白を大胆に取ったりすることで、洗練されたモダンな印象を与えることができます。
色彩は、言葉を発しませんが、雄弁にブランドの姿勢を語ります。
「なぜその色なのか」という背景にストーリーを持たせることで、デザインは単なる装飾から、顧客の心を動かすコミュニケーションツールへと進化します。
まとめ
今回は、日本の「縁起のいい色」や祝いの配色についてご紹介しました。
色の持つ意味や効果を知ることは大切ですが、それを実際のチラシやパンフレット、Webサイトのデザインとして形にするには、レイアウトやフォントとの調和、印刷時の発色など、専門的な知識と経験が必要です。
「自社のブランドに合った縁起の良い色を取り入れたい」
「卒業式や記念式典に向けて、相応しいデザインの制作物を頼みたい」
「色の意味を活かして、もっとインパクトのある広告を作りたい」
デザインや販促物関連でお困りの際はデザポケへお気軽にご相談ください。
デザポケでは、プロのアカウントエグゼクティブが、お客様の目的やご要望を丁寧にヒアリングし、デザインの意図や効果的な活用方法まで一貫してサポートいたします。

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